2022.3.29

Bodygramのアプリ・技術でヘルスケアの課題解決 

StoryNews編集部

Bodygram Rei Aiba

Bodygram Inc. CEO Rei Aiba 

12万体以上の身体データを基に、AIによる高精度デジタル採寸を可能としたアプリ・技術「Bodygram(ボディグラム)」。スマートフォンで正面と側面の2カ所を撮影するだけで全身24カ所を平均誤差1.5cm程度で測定できるサイズテックの技術は、アパレル業界に大きなイノベーションをもたらした。 

Bodygram Inc. CEOのRei Aiba(レイ・アイバ)はBodygramの新たな可能性について言及。「我々が保有するビッグデータとテクノロジーがあれば、アパレル業界のみならずヘルスケア業界にもインパクトを与えることができる」と言う。 

Bodygramは元々、自身の身体に合ったサイズの服選びを効率化させるために発表されたものだ。胸囲や腹囲など全身24カ所を採寸できる技術だったが、2021年6月に大きなアップデートが行われた。それは、体脂肪率や骨格筋量といった身体組成を推定計測できる機能追加だ。 

世界初の「Appleヘルスケア」互換のサイズテック 

サイズテックをヘルスケアで活用 

レイはBodygramのプロジェクトに参画した当初から「業界を越えて活用できるところに魅力を感じていた」と話す。Bodygramが最も注力していたのは精度だ。元東京大学教授やGoogleのエンジニアなどのチームが運用している。大量のデータ収集から分析、撮影に至るまで全てのプロセスで精度やユーザーの体験にこだわった。 

身体の正確なサイズ情報は、予防可能な病気のリスク軽減につながる。つまり、サイズテックはアパレル業界だけでなく、ヘルスケア業界においても重要な役割を担うのだ。 

早期からヘルスケア領域に参入 

Bodygramを手がけるBodygram Inc.は2019年1月にアメリカで創業した。同年5月には日本法人が設立され、翌年の2020年6月よりアプリ配信がスタートしている。アパレルやEC業界での注目が先行されていたが、アプリ配信からわずか数カ月後にはApple社のヘルスケアAppの互換アプリとして認証、連携を実現させている。 

従来は、ヘルスケアAppの「胴囲」はユーザー自身がメジャーで計測するなどして、手動で入力していた。これがBodygramとの連携によって、2枚の写真撮影と簡易的な数値入力のみで全身のトラッキングが可能となった。胴囲のサイズ入力における連携は世界初だ。 

「ヘルスケアAppとの連携は、Bodygramにとって大きなマイルストーンになった。胴囲のサイズは、あらゆる健康リスクの判断材料になり得る」(レイ) 

サイズテックによる予防医療 

2つの考えでアプローチ 

胴囲のサイズから分かるのはメタボリックシンドロームの他、2型糖尿病や循環器系などのリスクだろう。ヘルスケアAppと連携したBodygramの機能で大きな特徴となるのが「継続して数値をチェックできる」という点。病院などの定期的な身体測定だけでなく、日常的に自宅で変化を計測できるのが利点だ。 

また、体脂肪率や骨格筋量というインボディ測定も可能としたことで、心疾患などの予防の観点からサポートできる。 

「継続的なチェックと体の状態を認知することによる予防という2つの考え。例えば、ウエストサイズが大きくなっていることを把握することで、特定の病気のリスクを示唆し、予防策を講じることが可能になる。また、手術前と手術後の変化を     、自宅で測定することも可能に     なるだろう。     」(レイ) 

メーカーや健保とのタイアップ 

花王ヘルシアの「モニタリングヘルス」 

ヘルスケア業界でも認知が広がるBodygramは、様々な企業・団体と連携している。花王株式会社の特定保健用食品指定飲料ヘルシアと進める「モニタリングヘルス」もその一つ。ヘルシア公式LINEアカウントで友だち登録し、モニタリングヘルスに進むことで受けられるサービスだ。 

ここでも2枚の写真を撮影するだけで、腹囲と内臓脂肪が測定される。これを毎日続けて推移を“見える化”することで、健康へのモチベーションを促す仕組みだ。 

健康保険組合のセルフ管理に寄与 

健康保険組合が組合員向けに導入している健康増進アプリ「QOLism(キュオリズム)」にもBodygramが採用された。キュオリズムはユーザーの身体データや登録情報を基に、生活習慣改善サポートを包括的に行うアプリ。「健康的な生活習慣を自然と身に付けるセルフ管理」をテーマとしており、正確な身体データを測定できるBodygramはうってつけだろう。 

「健康リスクのサインを深刻なものになる前に察知することができる。日々、身体をチェックすることで、サインを見逃さない習慣が身に付く。身体から出るサインに気付けば、食生活なども改善されるのではないか」(レイ) 

現代人が避けられない「身体の歪み」 

新機能の「姿勢分析」 

リモートワークや長時間のスマートフォンの使用によって、現代人の身体に歪みが生じてきている。そこで、Bodygramは2021年9月に新機能の「姿勢分析」をアプリに追加した。 

「スマートフォンやパソコンの操作は姿勢が崩れがち。コロナ以前から不自然な歪みは顕著だった」(レイ) 

新たな機能では頭、首、肩、腰、骨盤の5カ所を基準とし、身体の前後左右の傾きを確認することが可能となった。3Dアバター上にラインが引かれ、どの程度傾いているかが可視化。身体の歪みを知り、改善するきっかけになると期待されている。 

Bodygramの可能性 

PHR普及がビジネスチャンス 

今、国をあげて取り組んでいるのがPHR(パーソナルヘルスレコード)の構築だ。個人の健康や医療、介護情報をテクノロジーの活用によって集約する機運が高まっている。 

レイはこれをビジネスチャンスと捉えており「Bodygramは、誰もがスマートにアクセスできるツール。データコレクションしやすく、サポートできる体制が整っている。」と話す。アメリカではいくつかの病院と連携し、時間経過による体の変化測定などを実証を検討しているという。 

遠隔医療も視野に 

「自分の健康に関する情報にアクセスし、把握することが大事。これまでは医者がそれを行っていた」(レイ) 

コンスタントに身体を測定するのは、多忙な現代人にとってハードルが高い。また、身体に異変が起きるまで、病院に行くことに抵抗を感じる人も多い。テクノロジーで、その課題を解決するのがAI計測アプリ・技術、Bodygramのもう一つの側面なのだ。「遠隔医療にアプローチできる可能性も秘めている」とレイ。近い将来、Bodygramをスタンダードにしたヘルスケアシステムが実現するかもしれない。 

第1回はこちら

【Rei Aibaプロフィール】 

Bodygram Inc. CEO 

2012年から、日本のヘッジファンドを牽引するシンプレクス・アセット・マネジメント株式会社に勤務。2020年9月1日、Bodygram Japan株式会社のCOOに就任し、2022年1月にBodygram Inc.のCEOに就任。人工知能(AI)の学習機能を駆使して身体サイズを推定する「Bodygram」の開発・実用化に貢献している。 

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