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2022.1.7

採寸アプリ・技術「Bodygram」でアパレルの課題解決【Rei Aiba】

STORY INTERVIEW

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StoryNews編集部

Rei Aiba Bodygram

Bodygram Japan 株式会社  COO Rei Aiba 

新型コロナウイルス感染拡大によって生まれたキーワードの一つが「非接触」、人と人が直接の触れ合いを避けるという新たな常識が生まれた。大きな影響を受けたのがアパレル業界だ。 

アパレルの店舗では、試着の採寸でスタッフと顧客の接触が伴う。コロナ禍で注目されている技術が“サイズテック”だ。スマートフォンと専用アプリなどを使って全身を計測する技術で非接触の採寸が可能になる。 

そして、サイズテックがもたらす「アパレル業界のイノベーションは、まだまだある」と期待を膨らます。 

創業者のビジョンに惹かれる 

元アスリートの学び 

レイの生まれはピッツバーグ。そこからニューヨークへ移り、スポーツに打ち込んだ。スケートボード、サッカー、野球、バスケ。特にスキーは競技者として顕著な成績を残している。大学を卒業後、アスリートの世界からビジネスの世界に足を踏み入れた。 

「学生時代のスキー競技で“競争すること”を体で学んだ。アスリートからビジネスマンへの転身が、僕の人生の中でも大きな転機だった。」(レイ) 

入社したのはアセットマネジメント企業。若くしてディレクターを務め、ビジネス界でも頭角を現した。「誠実さ」「耐えること」「失敗からの学び」この3つを学んだという。 

ビジョナリーな起業家との出会い 

2014年、レイはJin Koh(ジン・コー)と出会う。ジンは「シリコンバレーで働くエンジニアの服の買い物の負担を減らしたい」という思いから、「オリジナルスティッチ」というブランドを立ち上げた。やがて「全てのクローゼットにカスタムシャツを」というビジョンが生まれる。顧客それぞれにカスタムされたスーツやシャツを作るというサービスだ。 

ジンはレイを誘った。当時、レイは自身の仕事が忙しく、すぐにジンのビジネスに参画することは考えなかったが、ジンのビジョンに興味を持つ。 

「ジンはビジョナリーで、野心家だ。採寸というアナログな世界に目をつけ、12万体以上のデータを集めると言い出した。世間に理解されなくても行動力で事実を動かす力があった」(レイ) 

Bodygramの技術はオリジナルスティッチのセルフ採寸アシスト機能としてスタートしている。ジンは2019年1月に米国でBodygram.Incを設立。同年5月には日本法人が誕生した。2020年9月にはついにレイが入社する。 

Bodygramが返品率を減らす 

Bodygram

精度とUIに注力 

Bodygramは、服を着たまま自身の正面と側面をスマートフォンで2枚撮影するだけで、首回りや袖、裾など全身24カ所の採寸ができる。平均誤差1.5cmという高い精度が実現しているのは、12万体以上サイズのデータが保有できたからだ。

「精度にはクリティカルに注力している。元東京大学教授やGoogleのエンジニアなどを集めたチームで取り組んでいる」(レイ)

スマートフォンでインストール可能なアプリとして開発したことも大きい。これにより、誰もがいつでもどこでも簡単に自身に合う服のサイズを正確に採寸できる。どのような姿勢で撮影すべきか、オペレーションは分かりやすいか、簡単に操作できるかといったユーザーインターフェースにも注力し続けている。 

ECの課題を解決 

実店舗ではなくECサイトで服を購入する人も増えている。従来は、顧客が自身のサイズを入力して購入していた。ところが、自分の服のサイズを正確に把握している人は少ない。店舗側は動画やパンフレットなどのガイドラインを出して対応しているが、それでもサイズが合わないことが多くある。せっかく売れた商品が返品されてしまう。返品された商品は廃棄せざるを得ないケースもある。 

事前にBodygramで採寸をしていれば、ユーザーは最適なサイズの服を購入できる。店舗側は返品率が抑えられ、利益向上につながる。 

スタッフの負担軽減と顧客満足向上 

マーチャントダッシュボード 

Bodygramの利点をさらに高めたのが、2021年4月から本格的に販売開始した「マーチャントダッシュボード」だ。まず利用する企業や店舗にQRコードが発行される。顧客はQRコードを読み取る。すると、顧客のBodygram採寸データが瞬時に店舗のダッシュボードに共有される仕組み。 

つまり、非接触が叫ばれるなか、店舗スタッフは採寸のプロセスを踏むことなく接客が可能となる。これはスタッフの負担軽減に大きく貢献する。顧客にとっても、店舗で採寸せずともスタッフが自身のサイズを把握しているというのはメリットだろう。 

「Bodygramに備わっているデータシェア機能を活用したサービスだ。店舗側は特別な開発をしなくて済むため、最短1日でコストを抑えた形で導入できる。スタッフの負担を軽減し顧客の満足度を向上させる、まさにwin-winのサービスだ。」(レイ) 

アパレルのマーケティングを変える 

Bodygram

ビッグデータは大きな強み 

ボディグラムは12万体以上の、いわゆる「身体データ」を保有していることに強みがある。これらをAI技術を駆使して活用しているわけだ。 

「商品の製作上どのようなサイズが適切なのか」が分かれば、服飾デザイナーやパタンナーらにも役立つ。地域や年代をセグメントして、それに見合った最適なサイズをストックすることもできるだろう。 

「かつてジンが言っていた12万ものビッグデータは、我々にとって大きな強みになっている。ボディグラムというサービスが進化した時、この技術は業界を越えてあらゆる所にインパクトを与えるものになる」(レイ) 

Bodygramのビッグデータはアパレル業界のマーケティングを大きく変革する価値がある。一方、レイが語るように他の領域でも多大な貢献が可能だ。 

12万体以上の身体データと高いテクノロジーで実現した採寸精度。ボディグラムのサイズテックは、ヘルスケアの領域にもイノベーションをもたらす。 

<第二回に続く> 

【Rei Aibaプロフィール】 

Bodygram Japan 株式会社 COO  

2012年から、日本のヘッジファンドを牽引するシンプレクス・アセット・マネジメント株式会社に勤務。2020年9月1日、ボディグラム・ジャパン株式会社のCOOに就任。人工知能(AI)の学習機能を駆使して身体サイズを推定する「Bodygram」の開発・実用化に貢献している。 

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