野村ホールディングスの“証券DX”。投資情報アプリ「FINTOS!」の認証基盤に「Auth0」導入
認証ソリューションを提供するAuth0株式会社(オースゼロ:東京都渋谷区)は8月4日、「野村證券によるメディアウェビナー」をオンラインで開催しました。
当日は、Auth0共同創業者兼CEOのユーヘニオ・ペース氏、同シニアバイスプレジデントのスティーブン・リー・プルマン氏、野村ホールディングス株式会社執行役員で未来共創カンパニー長を務める池田肇氏が登壇。近年増加するサイバー攻撃とID管理の関連性やフィンテックにおけるDXなどについて、各視点からメッセージを発信しました。
セキュリティー、プライバシー、UXのバランス
Auth0は、Webサービスやアプリケーションにおける安全で使いやすい認証認可サービスを提供する企業。2013年にアメリカのワシントン州で創業し、2018年に日本支社が設立されるなど、グローバルに展開しています。
現在、Auth0のサービスには月50億ものログイン件数があります。ところがユーヘニオ氏は「50億のうち30から50%は疑わしいログイン」とし、日々増えているサイバー攻撃に警鐘を鳴らしました。また、新たなテクノロジーやイノベーションの普及によりカスタムアプリが増加したことに触れ「特に2020年は新しいテクノロジーが増えた年だった。私たちは常にアプリケーションに触れている。それだけにIDの管理は非常に難しい。正しく管理しないと、大きなリスクとなってしまう」と述べました。
スティーブン氏は日本市場のID管理ついて言及。「DXとAPIファーストのサービス」や「個人情報保護法の改正」などをトレンドに挙げたほか「セキュリティーとプライバシー、ユーザー体験(UX)のバランスが重要」と訴えました。
確かに、セキュリティーとプライバシーについては「どこまでを保護するか」などが議論されています。また、セキュリティー強化やプライバシー保護に注力するあまり、UXをおざなりにしてしまうサービスも少なくありません。
スティーブン氏は「Auth0は、開発者がイノベーションに注力できるような仕様。また、金融のような機密性の高いデータを扱う業界でも、安心して管理できるようなソリューションを提供している」と語りました。
口座開設前の顧客アプローチに求められるもの
池田氏は、金融サービスのデジタル化とデジタルサービスから金融サービスへの派生が同時に進む時代背景から「実現したい理想の姿と現実のギャップを技術が埋める“証券DX”」を提唱。2021年、野村證券がリリースした投資情報アプリ「FINTOS!(フィントス)」は、まさに証券DXで誕生したサービスと言えるでしょう。
「FINTOS!」は株式投資に有用な情報を厳選して配信するアプリ。ウオッチリストやリサーチレポートといった機能も搭載しています。野村證券は口座開設前の顧客にアプローチが可能な一方、顧客は取引以外のサービスをシームレスで体験することができます。
「本サービスは投資助言業にあたるため、ワンランク上のセキュリティー対策が求められる。自社で認証システムを開発することも検討したが、セキュリティー面のほか、機能性や可用性からAuth0を導入。やはり、デベロッパーが開発しやすいというのも決め手だった」と話しました。
フィンテックサービスは、特にID管理がシビアです。あらゆるサービスを展開する中で、UXも担保しなければなりません。リーディングカンパニーである野村證券のAuth0を活用したDX事例は、金融業界に大きなインパクトを与えています。