ポイ活アプリ「トリマ」の人流データ活用でジオテクノロジーズと東大が共同研究
ESGメタバースカンパニーとして社会課題解決に貢献するジオテクノロジーズ株式会社(東京都文京区:杉原博茂代表取締役社長)は2月3日、「人流データ活用共同研究」計画発表会を都内で開催しました。
同社は2020年に移動するだけでポイントが貯まるポイ活アプリ「トリマ」をリリース。2022年11月には累計ダウンロード数1,200万を突破しています。数多くのユーザーから取得した高密度かつ高精細な人流データを東京大学空間情報科学センターへ無償提供し、共同研究をスタートさせます。
このほどスタートする研究は“歩行者”にフォーカスされたもの。杉原社長は「スマートシティやMaaSにおける研究分野では、車の移動や人の滞在などが分析されていた。これまでは、人々の移動を捉えて分析するために十分なレベルの人流データが存在しなかった。トリマユーザーから取得した人流データは“連続性”、“高精度”、“人の属性”など、デジタルネイティブな地図会社ならではのもの。東京大学との共同研究で、スマートシティや地域住民の健康増進に貢献できるような成果を創出できれば」と語りました。
可視化、集計、分析で見える群衆移動
2022年10月に発生した韓国梨泰院の群衆事故は記憶に新しいでしょう。事故当時は、1㎡あたり12人超という密集状態でした。これを受けて、群衆移動は注目を集めています。同社は2022年8月に横浜市で行われた「みなとみらいスマートフェスティバル2022」の群衆移動における分析結果を発表。「みなとみらい」駅の混雑度は平時の約6倍、「桜木町」駅と「馬車道」駅はそれぞれ約10倍という結果に。
一方、混雑したピーク時刻は「みなとみらい」駅が18時45分頃、「桜木町」駅が21時30分頃、「馬車道」駅が20時15分頃となっており、各駅に違いが見られます。このように、連続性がある高精度な人流データを可視化し、集計して分析すれば各駅に適した混雑回避の対策が可能となるでしょう。
東京大学空間情報科学センターの柴崎亮介教授は「ジオテクノロジーズの人流データを活用することで、人々の移動手段を分析して次に何が起こるのかを予測できれば、行動変容を促すことができる。河川の氾濫や地震による津波と言った災害による被害を未然に防ぐことや、人々の健康を守ための街づくりに活用できるのでは」と期待していました。
よく歩く街ランキング1位は神奈川県逗子市
同社は2022年3月から5月に、トリマユーザー約110万人から取得したGPSデータで1都3県を対象にした「よく歩く街ランキング」を作成。人流データから歩行と特定できた移動距離を算出し、行政区ごとに移動距離一人当たりの平均値を集計しました。平日、休日ともに1位となったのは神奈川県逗子市。1人が1日に歩く平均距離は平日で1.888km、休日で1.867kmでした。
平日のランキングを見ると、逗子市に続くのは千葉県山武市、香取市、袖ケ浦市。交通網が発達している都心部は上位にありません。ところが、休日を見るとランキングは一変しています。2位に観光名所であり散策スポットとしても有名な神奈川県鎌倉市が入ったほか、5位に東京都大田区、6位に品川区、9位に台東区、10位に目黒区、11位に渋谷区がランクイン。休日になると、人が都心に出てきてよく歩いているということが分かります。
「令和4年度のスマートシティ関連事業は51地域で実施されている。しかし、MaaSや自動運転といったハード面が多く、人にフォーカスした施策は少ない。これでは市民からすればどこが変わったのか実感しづらいのではないか。トリマはいわゆる“Move to Earn”アプリ。市民が主役の街づくりの土台になる」と杉原社長は話します。
移動してポイントを貯め、他のポイントなどに交換できるトリマ。自身の移動データがスマートシティ実現に役立つというのは、まさに一石二鳥の仕組みです。人が動けばデータが集まり、社会が良くなるシステム。東京大学との共同研究の成果が、どのように還元されるのか楽しみです。