2023.6.14

【セキュリティエージェント】中小企業のセキュリティ人材不足をWebマーケティングで解決

StoryNews編集部

株式会社セキュアオンライン 角田優剛

株式会社シーズ・クリエイト
株式会社セキュアオンライン
代表取締役社長 角田優剛

インターネットの普及により、社会に利便性がもたらされたとともに、新たな社会的脅威が生まれた。サイバー攻撃である。サイバー攻撃は年を追うごとに高度化・複雑化してきており、その数も増え続けている。2021年には東京オリンピックを狙った攻撃が4.5億回も確認された。

毎日のようにサイバー攻撃被害のニュースが流れるなか、個人情報や機密情報を扱う企業にとって、サイバーセキュリティ対策は喫緊の課題である。この課題を「Webマーケティング」という視点で解決に導こうとしているのが、株式会社シーズ・クリエイト株式会社セキュアオンラインの2社を経営する角田優剛氏だ。

きっかけは友人のサイバー攻撃による被害

角田氏は、2011年にWebマーケティング会社である株式会社シーズ・クリエイトを設立。Webサイト構築やマーケティングに従事した。セキュリティ業界に参入したのは2013年頃。経営者仲間に紹介され、クラウド型WAF製品(ウェブアプリケーションを保護するセキュリティの一種)の代理店となる。事業を展開していく中で、友人のWebサイトがサイバー攻撃によって改竄された。

「当時からすでにWebサイトは売上に直結する大切なマーケティングツールでした。それが改竄されるというのは、経営的にも大きなダメージ。しかし原因を追求していくと、サイトを運営する企業側のセキュリティの甘さも課題でした。中小企業経営者のサイバーセキュリティに対する意識の低さを実感。まずはサイバーセキュリティへの意識啓蒙が必要だと考え、自分が得意とするWebマーケティングを活用したメディア運営をスタートさせました」(角田)

角田氏は2014年にサイバーセキュリティ専門メディア「サイバーセキュリティ.com」を開設。サイバーセキュリティ製品を扱う企業への取材記事や、IPA(独立行政法人情報処理推進機構)といったIT関連団体のリリースなどを丁寧に発信し続けた。現在、同メディアは月間100万PVを超える国内最大級のサイバーセキュリティ専門メディアに成長している。

セキュリティに“投資できない”中小企業

角田氏が目の当たりにした課題は、あらゆる中小企業で見られる事象だろう。IPAの「2021年度中小企業における情報セキュリティ対策に関する実態調査(※)」によると、8割以上の企業は直近3年間のセキュリティ投資額が100万円未満となっている。そのなかで「投資をしていない」という企業は約3割にのぼる。なぜ情報セキュリティ対策に投資できない中小企業が多いのか。最も大きな要因は“人材不足”にあると角田氏は述べる。

※出典:https://www.ipa.go.jp/security/reports/sme/about.html

「従業員・企業のリテラシー向上、インフラ設備の老朽化改善、法制度と規制の理解など、サイバーセキュリティにおいて対策しなければならないことは多様です。しかし、中小企業がサイバーセキュリティ対策に投資できない最も大きな理由は“人材不足”でしょう。サイバーセキュリティ対策には一定レベルの知識やスキルを持った人材が必要ですが、そのような専門家を確保できている企業は非常に少ない。だから“何をすれば良いのかわからない”という企業が増えているのではないでしょうか」(角田)

角田氏は2020年に2社目となる株式会社セキュアオンラインを設立。日本国内の企業におけるセキュリティ意識の啓発、セキュリティ人材育成など、資産となる「情報」を守ることをサポートする事業をスタートさせた。そしてこのほどリリースされたのがサイバーセキュリティの専門家「情報処理安全確保支援士」と「何をすれば良いのかわからない企業」をマッチングするクラウドソーシングサービス「セキュリティエージェント」だ。

情報処理安全確保支援士の課題

情報処理安全確保支援士は、高いレベルの知識・技能を要する試験に合格し、国に認められた人材しか登録できない。2023年5月時点で日本国内における情報処理安全確保支援士の登録者数は20,786人となっているが、国は2025年までに30,000人超にするという目標を掲げている。現時点で目標の3分の2しか達成していない要因は、コスト面にある。資格更新講習の受講料、登録費などが発生するため、情報処理安全確保支援士に登録すると3年間で10万円超の費用を負担しなければならない。一方、企業側は情報処理安全確保支援士の存在を認知していないというのが現状である。

新サービス「セキュリティエージェント」はこれらの課題を一挙に解決するため、「情報処理安全確保支援士」と「何をすれば良いのかわからない企業」だけでなく「IPAなどの外郭団体」や「セキュリティ関連企業」にまで利益を与える内容となっている。

専門家と企業、双方のニーズに応える

「セキュリティエージェント」は、仕事を探す情報処理安全確保支援士とセキュリティ専門人材を確保したい企業がそれぞれ登録するプラットフォームだ。2023年6月よりスタートしたが、すでに200人以上の情報処理安全確保支援士が登録している。情報処理安全確保支援士にはポイント還元システムがあり、同プラットフォームを利用して受注した案件金額などに応じてポイントが付与される。これにより、情報処理安全確保支援士は副業的な収入を得ることができる。

セキュリティ専門人材を確保したい企業は、高い技術を保有する情報処理安全確保支援士に気軽に問い合わせ、依頼することが可能。既存のシステム会社と付き合いのある企業は、例えばセキュリティ製品の導入を勧められた際などにセカンドオピニオンを求めることもできる。

また、セキュリティ関連企業は「セキュリティエージェント」に登録している情報処理安全確保支援士をディストリビューターとして活用し、セキュリティ案件の受注に繋げることも可能だ。情報処理安全確保支援士の認知や活躍の場が広がることで、資格取得におけるメリットが増え、経済産業省やIPAが推進するセキュリティ人材の確保にもつながるだろう。

「セキュリティ人材不足で悩む企業とつながりがある」、「信頼できる専門家がすでに200人以上登録している」という点は、長らくサイバーセキュリティ業界でWebマーケティングを展開している角田氏が構築したプラットフォームだからこその利点と言える。

日本最大級のプラットフォームへ

「クラウドソーシングサービスとしては、すでに多数の大手企業のサービスがありますが、セキュリティエージェントは、セキュリティ対策に特化しています。情報処理安全確保支援士という資格取得者のみの登録としたことが一番大きな工夫であり、他のクラウドソーシングサービスとの差別化している点です。200名以下の中小企業で、ITの担当者・セキュリティの担当者がいない企業に適したサービスではないでしょうか」(角田)

角田氏が見据えるのは日本最大級の情報セキュリティ相談プラットフォームだ。まずは年内に情報処理安全確保支援士の登録数を1,000人以上にするという目標がある。3年後には登録情報処理安全確保支援士2,000人、登録企業7,000社を目指す。

インターネット社会に出現した新たな課題に対して「サイバーセキュリティ×Webマーケティング」という新しいアプローチで解決策を模索している角田氏。「セキュリティエージェント」は、その一つの理想形である。

【角田優剛のプロフィール】

株式会社シーズ・クリエイト
株式会社セキュアオンライン
代表取締役社長

大学卒業後、2011年1月にWEBマーケティング会社、株式会社シーズ・クリエイトを設立。さまざまな業種・企業のWEBサイト構築、マーケティングに従事。2014年に「サイバーセキュリティ.com」を開設。月間100万PVを超える国内最大級のサイバーセキュリティ専門メディアに成長している。2020年4月に株式会社セキュアオンラインを立ち上げ、日本国内の企業におけるセキュリティ意識の啓発、セキュリティ人材育成などを提供。企業の資産となる「情報を守ること」のサポート事業を展開している。

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