電力不足問題、62%が企業や事務所による使用。四季がある日本に求められるAPFの「空調効率性」
今年5月、政府は2022年度における最新の電力需給の見通しを公表しました。特にエアコンの使用が懸念される夏場と冬場は、全国的に電力不足となる可能性も。報道などを耳にして、エアコンの温度を調整するといった対策をしている一般家庭も多いのではないでしょうか。一方、経済産業省資源エネルギー庁の「総合エネルギー統計※」によると、国内の電力消費量における一般家庭の使用は16%に過ぎません。62%という大半の使用率を占めているのが、企業や事務所です。平均的なオフィスビルでは、電力消費の約半分が空調。つまり、企業や事務所がテナントとして入っている“オフィスビルの空調”は、電力不足問題解決のキーワードとなるでしょう。
※https://www.enecho.meti.go.jp/statistics/total_energy/pdf/gaiyou2020fyr.pdf
業務用エアコンのAPF表示
省エネに対する関心の高まりに伴い、定格冷暖房時の消費電力1kWあたりの冷暖房能力を表したCOP(Coefficient Of Performance)に加え、2006年から業務用エアコンの評価方法にAPF表示が追加されています。APF(Annual Performance Factor)は、いわゆる通年のエネルギー消費効率。年間を通して、一定条件でエアコンを使用した時の消費電力量1kWhあたりの冷暖房能力を表しています。四季があり年間平均気温に大きな幅がある日本において、APFという効率の基準は非常に重要と言えます。
日立ジョンソンコントロールズ空調株式会社は、ユニークな特長を備えた高APFモデルのビル用マルチエアコンを展開しています。「弊社のビル用マルチエアコン『FLEXMULTI』高APFプレミアムモデルは、外気温−25℃から52℃に対応している。−7℃まで定格能力を維持する寒冷地機能を搭載するなど、高AFPであることはもちろん、日本の四季と地域にマッチする、より効率性に優れた製品を展開している」と話します。
空調システムは進化している
オフィスビルの空調効率化と快適性の両立を図る上で、近年の高効率機種の導入だけでなく、日ごろのメンテナンスや空調の上手な使い方も大切なポイントです。室内機のフィルターを清掃するだけでも効果は見込めます。しかし、オフィスビルの事業者にとってみれば、規模が大きくなればなるほど空調の適切な管理や運用は難しくなるでしょう。同社は「当社の業務用エアコンには、家庭用エアコンで馴染み深い熱交換器を自動で凍結させて霜を溶かすことで汚れを洗浄する機能を搭載している機種もある」とし「規模の大きなオフィスビルであれば、例えば出勤の時間帯など一度に人が増えると負荷がかかり効率が悪化してしまう。一度室内が設定温度に達すると空調機がON/OFFを繰り返し、ロスが発生する。スケジュール機能や、室内機運転を順次送風運転にすることで節電するローテーション機能を利用するなどして、段階的に室温を調整していく方法や、必要負荷に応じて自動でスムーズな運転を調整できる機種の導入も効果的」と語ります。
業務用エアコン市場における近年のトレンドのひとつはIoT。空調機器をクラウドサーバーへ接続することで定期点検やメンテナンス、遠隔監視と予兆診断のIoTソリューションなど、IoTやセンサー情報を活用することで、上手に空調を使うことができます。「センサー情報から判断し、使われていない会議室の空調を停止させることができる。また、会議室の人の動きに応じて自動的に設定温度・風量・風向きを補正し、空調運転を抑制することも可能。センサーと連動して換気を調整することもできる。効率性向上による省エネだけでなく、利用者の快適性向上にもつながるのではないか」と同社は訴えました。
社会問題となっている電力不足。電力消費の大きなウエイトを占めるオフィスビル事業者にとって、空調による電力逼迫は死活問題と言えるでしょう。それらに対応するため、空調システムは進化を遂げています。このようなソリューションを最大限活用することが重要です。