2022.2.7

【橋本晋一】応用地質の災害大国を支える技術と経営ビジョン 地球科学に関わるサスティナブルカンパニー 

StoryNews編集部


応用地質株式会社 経営企画本部 広報・IR部 橋本晋一 

日本は言わずと知れた災害大国です。地震、豪雨、冠水、陥没などあらゆる災害に対応しなければなりません。ゆえに、日本の防災関連技術は世界トップクラス。その中でも唯一無二の技術を持ち、業界をリードしているのが応用地質株式会社でしょう。 

同社は「インフラ・メンテナンス」、「防災・減災」、「環境」、「資源・エネルギー」という4つのカテゴリーで事業を展開。特に「防災・減災」における事業では、あらゆる自然災害対策に携わっています。 

国策レベルの災害対策支援を展開し、人と地球の安全な未来を見据える技術や経営ビジョンとは。経営企画本部 広報・IR部橋本晋一氏に話を伺います。 

複雑な地形の日本を守る 

地震はプレートの衝突で発生する 

海に囲まれ、豊かな山や川に恵まれた日本。多くの人が日本を「自然豊かな国」と表現します。一方、雄大な自然は非常に複雑な地形で成り立っているという事実も。日本は北米プレート、ユーラシアプレート、太平洋プレート、フィリピン海プレートという4つのプレートの上にあり、世界的に見ても珍しい環境にあります。 

地震はプレートの衝突によって引き起こされるため、4枚のプレートの衝突部にある日本は必然的に地震が多くなるのです。 

「ヨーロッパ大陸などに比べると、複雑な地殻の上に形成されている日本列島は地震活動が活発です。」 

「関東平野など、河川によって運ばれた土砂が堆積した軟弱な地層が広がるエリアでは、地震の揺れが増幅しやすいことも知られています。首都直下型地震の被害想定が国から公表されていますが、地震発生の条件によっては、建物の倒壊・火災や、社会インフラの損傷などにより、大きな被害を受けるとも言われています」(橋本氏) 

民間唯一「スーパーコンピューターによる大規模な地震動シミュレーション」 

大規模な自然災害の復旧や、事前防災に向けた応用地質の防災・減災サービスは多岐に渡ります。発災後の復旧支援サービスとしては、自治体等の要請に基づく災害査定のための資料作成支援から、災害廃棄物の早期の処理支援、崩壊した斜面や河川堤防の現場調査や対策工設計などがあります。 

「どんなメカニズムで崩壊が起きたのかを現地踏査や地質調査などから解明し、対策のコンサルティングをしていくのも我々の役目。業界として多くの自治体とも災害協定を締結し、大規模な災害が発生した際には全社をあげて迅速に協力していきます」(橋本氏) 

南海トラフ巨大地震 地域別震度予測(内閣府 2012) 

国レベルでの地震動や津波のシミュレーションには、スーパーコンピューター等を用いた高度な解析技術が必要ですが、応用地質は民間では唯一、このような技術を保有する会社です。これは「ある地点で巨大地震が発生した場合、どこに、どれほどの地震の揺れが伝わり、何mの津波が来るか」といったことを予測する技術で、内閣府が公表する各種の巨大地震の被害想定の基となるもの。応用地質では、都道府県レベルでの被害想定調査も手掛けているが、これらの技術サービスには、地質学や地震学、地震工学、建築学、土木工学など実に多様かつ専門的な知見を持つエキスパートが関わっています。 

業界オンリーワン「地盤3次元化技術」 

応用地質が誇るもう一つのオンリーワン技術が「地盤3次元化技術」です。従来の地質調査では、ボーリング調査を主体とした「点と線」による2次元の技術で地質・地盤の評価が行われていました。しかし、複雑な地質を持つ日本においては、情報量の少ない2次元の技術だけでは、局所的な地質変化(地質リスク)を見落とす懸念がありました。近年報道で見かけるようになった、地下掘削工事の際に発生した大規模な陥没事故などもそのようなケースの一つです。 

地盤3次元化技術は、コンピューターの発達と最新の物理探査手法の開発から生み出されたもの。電磁波など様々な物理現象を用いて地盤の内部を非破壊かつ3次元で測定し、それをわかりやすくモデル化・可視化する技術です。 

「これまでは地質の専門家でしかイメージできなかった地盤内部の世界を、地盤3次元化技術によって誰もが理解しやすくなり、地盤に潜むリスクを明らかにすることで地盤に起因する公衆災害を抑制することが期待されます」(橋本氏) 

豪雨被害増加の実態 

なぜ内水氾濫が起きるのか 

近年、地震と共に懸念されているのが豪雨災害です。台風や局地的豪雨は年々増加傾向にありますが、最近は都市の排水能力以上の雨が降ることが多いという実情もあります。 

「内水氾濫は、市街地の排水能力を超える雨量が降ることで起こります。まちづくりの設計段階で想定していたよりも多量の雨が降るようになり、下水などの排水が雨量に追いつかずに都市が水に浸かってしまうのです」(橋本氏) 

社会インフラを活用した冠水センサ 

応用地質では、調査やコンサルティングだけでなく、防災センサなど機器の開発も手掛けています。最近では、街中でよく見かける道路エクステリアと組み合わせた新たな防災センサも開発しました。その一つが「冠水センサ付きボラード」。駐車場などでよく見られる車止めです。 

車止めに水を検知するセンサと通信機を内蔵し、センサが冠水を検知するとアラートを発信する仕組み。非常灯を点灯させて周囲に道路冠水を知らせるとともに、自治体の担当者にメールで通知することで、早期に通行止めなどの防災処置を取ることができます。社会インフラを活用した、広域かつスピーディーな冠水監視ネットワークシステムです。 

公共事業依存からの脱却 

OYO ADVANCE 2023 

さて、応用地質では創業以来、長らく各地域に「支社」を置いて、各地で発注される公共事業を受託することで事業を成長させてきました。しかしながら、公共事業の縮小とともに業績が悪化してきたことから、2009年に長期経営ビジョンを策定し、10年間にも渡る事業変革を行ってきました。受け身的な公共事業への依存体質から脱却し、自社の事業を明確にして、再成長のための新たなビジネスモデルを再構築する取組みです。その一環として行ったのが、支社制から事業部制への転換でした。 

そして、そのような取組みの中で得られた新たな市場や新技術の萌芽を次の収益事業として成長させるとともに、ESG 経営、SDGs目標の達成に貢献する新たな価値創造プロセスにチャレンジしていくのが、2021年よりスタートした中期経営計画「OYO ADVANCE 2023」です。 

東日本大震災で得たナレッジ 

これまでの事業変革の取組みの中で得られた成長事業の一例としては、東日本大震災を契機として生まれた災害廃棄物処理関連サービスがあります。 

2011年に発生した東日本大震災では、当然ながら応用地質も携わりました。津波被害によって発生した膨大な災害廃棄物。応用地質では、岩手県の災害廃棄物の処理計画や施工管理を担当しました。早期に復旧をするためには、膨大な廃棄物の量や組成などを迅速に分析し、建材などへのリサイクルも最大限に活用しながら、効率よく廃棄物処理を進めていく必要があります。応用地質では、この時の経験をもとに、災害廃棄物の処理に関する知見と技術を蓄積するとともに、強みとする地震防災事業分野の技術とを組み合わせることで、その後の全国各地に広がる災害廃棄物処理計画の市場を開拓しました。 

応用地質のサスティナブル経営 

2023年に向けて大きく舵を切った応用地質。新たな成長事業の開拓だけでなく、ガバナンスの強化やDXの推進、働き方改革などダイナミックな動きを見せています。地球科学に関わるソリューションプロバイダーとして、SDGsにも精力的。特に「11.住み続けられるまちづくり」、「12.つくる責任。つかう責任」、「13.気候変動に具体的な対策を」といったゴールに向けて尽力しています。 

唯一無二の技術と積極的な経営ビジョンで地球規模の社会課題に対応する応用地質。社会に価値を与えるサスティナブル経営が、日本という災害大国を支えているのです。 

応用地質株式会社 経営企画本部  

広報・IR部 橋本晋一 

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