2023.4.21

【ウィーメックス】PHCグループ新会社。診療所向けリモート対応製品と医療DXにおける展望!

StoryNews編集部

大塚孝之 ウィーメックス株式会社

日本有数のグローバルヘルスケア企業であるPHCホールディングス株式会社(以下、PHCグループ)は今年1月、ヘルスケアソリューションを展開する新会社「ウィーメックス株式会社(以下、ウィーメックス)」を設立。4月からの事業スタートにあたり、13日には都内で「事業戦略発表会」が開催されました。

医療業界は現在「人口減少」、「高齢化」、「財源の逼迫化」という課題に直面しています。厚生労働省の「2020年度国民医療費の概況」によると、2000年度時点で約30兆円だった医療費はここ20年で1.4倍の約43兆円に。また「2040年を見据えた社会保障の将来見通し」では今後20年も医療費はさらに上昇を続け、2040年度に76.3兆円となる見込みが算出されています。

一方、医師の労働環境にも大きな課題があります。「医師の働き方改革の推進に関する検討会参考資料」を見ると、月間平均残業時間は会社員22.2時間に対して勤務医は65.3時間。多くの医師が時間外労働をせざるを得ない状況になっていることが分かっています。

これらの課題に対してウィーメックスの代表取締役社長に就任した大塚孝之氏は「医療DXのパイオニアとして、医療業界のデジタル変革を加速させる」と宣言。「国内シェア1位の強い顧客基盤」、「全国に広がるサポート体制」、「政策への迅速な対応力」、「製品開発における先進性」という4つの強みで医療DXを推進していくと発表しました。

生産性向上を目指すハイブリッドクラウド製品

PHCグループは、1972年に日本初となる医事コンピューター「メディコムMC-1」を発売した三洋電機株式会社のヘルスケア事業を、2012年、当時のパナソニックヘルスケア株式会社に統合。本事業は50年以上にわたり、電子カルテシステムや電子薬歴システムなどを展開し、長きにわたって医療業界のデジタル変革をリードしてきました。このほど設立されたウィーメックスは「健康経営」、「クラウドサービス連携」、「医師向けソリューション」、「医療ビッグデータ分析」という領域にフォーカスしていくビジョンです。

中でも新たにリリースされた診療所向け医事一体型電子カルテシステム「Medicom-HRf Hybrid Cloud」は、クラウド技術を応用したロケーションフリーかつデバイスフリーを実現したハイエンドモデルの電子カルテとなっており、多忙を極める診療所の医師らの生産性向上に大きな期待が寄せられています。

「近年、診療所におけるリモートのニーズは高まっていた。同製品はパソコンやタブレットを通じて院外からカルテが閲覧できる。また、タブレットで撮影した写真をカルテに取り込むこともできるため、業務短縮につながる。さらに、院内サーバーの電源を遠隔操作することができるため、医療機関専用端末でどこからでも電子カルテを利用することができる」と大塚社長。つまり、どこにいても院内での作業と同様に電子カルテを利用することが可能なシステムです。大塚社長はこの技術について「トップシェアカンパニーとして業界を牽引してきたPHCグループだからこそ、クラウドの潜在価値を活かした製品をつくることができた。また、API基盤の活用によって、それぞれの診療所に適した各種システムとの迅速な連携も可能に。各診療所には柔軟に活用してもらい、生産性を高めてもらいたい」と語りました。

ウェルビーイングの実現は「医療機関+生活者」

政策に対しても積極的な対応を展開しています。政府は2021年10月よりオンライン資格確認の導入を本格稼働させ、今年4月からは原則義務化となりました。ウィーメックスではオンライン資格確認の累計導入数が30,000件を突破。これは全国の運用開始施設数113,100(歯科を除く病院・医科診療所・薬局)の約27%に相当します。大塚社長は「厚労省が推進する目標期限に対し、全顧客への導入完了を目指す。同時に進めるのは、電子処方箋。政策目標に対して臨機応変かつ迅速に対応していく」としました。

昨今、ウェルビーイングという言葉をよく耳にするようになりました。同社が目指すパーパスは「一人ひとりの心身を探求し、誰もが自分らしい幸せを手にできる社会を創り出す」です。従来の医療DXは「医療機関」にベクトルが向けられていましたが、その先にいる「生活者」のウェルビーイング実現をさらに目指すのがウィーメックスの長期的な方向性。全国に140のサポート拠点を持ち、あらゆるネットワークと高いシェアを誇る同社だからこそ、非常に現実味のある事業戦略だと言えるでしょう。

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