隈研吾氏が共感しデザイン、循環型素材「トランスウッド」によるテーブルウェア
環境調和型ブランド「hide k 1896」が4月19日より、「TRANSWOOD(トランスウッド)」を素材としたテーブルウェア「les trois collection(レトワコレクション)」を発売します。
トランスウッドは、廃食用油などで製造したバイオマス樹脂と間伐材を配合したもの。形を変えて循環していく環境調和型素材です。50%が国産木材であり「軽く」、「割れにくく」、「食を美しく魅せる」という特徴を持ちます。同素材を利用してプロダクトされたテーブルウェアが「レトワコレクション」。大皿(27cm)、中皿(21cm)、ボウル(15cm)の3つの器で構成されます。
デザインを担当したのは世界的建築家として知られる隈研吾氏。これまで自然と技術と人間の新しい関係を切り開く建築を提案してきた隈氏が「循環する木材のテーブルウェア」に共感し、プロジェクトがスタートしました。
同ブランドを運営するhide k 1896株式会社(東京都港区)の春日秀之代表取締役は「弊社が手がけた循環する木材『トランスウッド』を広めていくために、まずは消費者に身近なテーブルウェアからマーケットを開拓していきたい」と語りました。
レトワコレクションは、自然素材がベースなため、一つとして同じデザインの木目が存在しません。黒色のグラデーションで日本独自の“詫(わび)”の世界観を昇華させた、隈氏のデザインによる美しい器は、料理を際立たせ、日々の食卓を演出します。
「les trois(3つ)」の器で、日本の食卓を変える
「フランス語のレトワは『3つ』を意味する。レトワコレクションは3つの器で構成されている。なぜ3つなのか。私たちは器の数を少なくすることで、豊かで、かつ、環境にも優しい食卓を提案したい」(春日代表)。
春日代表は「フランスでは一つの器に複数の食べ物を乗せていく文化がある。器の数を少なくすることは、節水や節約にもつながる。日本のライフスタイルから変えていくために、3つという数にした」と話します。
また、「従来の陶器の器は、割れると使えなくなり、循環もしない。トランスウッドでできたレトワコレクションはこうした心配がない。素材とともに隈氏の洗練されたデザインで、食事を楽しんでもらえれば」と訴えました。
循環の輪を“学びの場”にも広げる
ライフスタイル領域に新たなマーケットの創出を目指す、トランスウッド。一方で、教育施設を対象とした実証実験も展開しています。千葉県と長野県の中学校にトランスウッドでできたペンケースを無償で配布。生徒は1年間、循環する木材に触れることができます。また、使用されたペンケースはその後回収され、観光地のベンチや美術館の展示物へ姿を変えていく予定です。
「ライフスタイルから家具、建築、モビリティ、ロボットと段階を踏んでトランスウッドというマテリアルを広めていきたい。廃棄物を燃やす時に発生する熱エネルギーを回収して利用する『サーマルリサイクル』から素材を循環させる『マテリアルサイクル』への変革も提唱していく」と春日代表。
日本文化は「自然との共生」で築かれ、元々循環型の社会を形成してきたとも言われています。“詫(わび)”の世界観とともに、日本の食卓から循環型のライフスタイルの提案を始めたトランスウッド、今後の広がりが期待されます。