2023.6.28

【G&ECO】エネルギーソリューションで災害大国日本に“電力の花”を。

StoryNews編集部

株式会社G&ECO 小島盛利

2019年に設立された株式会社G&ECO(小島盛利代表取締役社長)は、従業員10名のベンチャー企業だ。LPガスとガソリンという2つの燃料が使える発電機「ELSONA(エルソナ)」シリーズが同社の主力商品で、地方自治体を中心に1,800台以上の納入実績がある。

また、太陽光発電システムの提供も展開。太陽電池モジュールからパワーコンディショナ、取付架台、周辺機器などを網羅している。さらに、蓄電池システムは小型小容量から大型大容量を揃え、顧客のニーズにマッチしたラインナップを用意。同社は、いわゆる“エネルギーソリューション商社”というポジションである。

災害時の電力確保

SDGsの気運が高まり、再生可能エネルギーは世界共通のトレンドとなっている。そのような社会情勢の中で、小島社長は「平時の自然エネルギー活用」「災害時の対応」という2つをテーマに掲げた。

「そもそも日本は資源が少ない国なので、海外からの輸入に頼らなければならない。さらに燃料の高騰という問題もある。平時はいち個人でも確保できる太陽光など、自然エネルギーを活用し、自ら電気をつくって使うこと。そして災害時。どのような状況に陥っても、誰もが容易に電力にアクセスできるインフラ整備が重要である」(小島社長)

日本は言うまでもなく災害大国だ。阪神・淡路大震災、新潟県中越沖地震、東日本大震災、熊本地震。大規模災害が発生するたび、電力需給の課題が取り沙汰される。一方で、電気自動車の普及拡大など、電気への依存度が年々高まっているといえるだろう。

主力商品の無償貸与

G&ECOが実施している「発電ステーションプロジェクト」では、18.5kgの軽量ポータブル発電機「エルソナGD1600SR」を全国の販売店に無償貸与している。このエルソナは有事の際でも、販売店近くの住民に対して、電気を供給できるインフラとなる。4月からスタートした同プロジェクトにより、当初11ヶ所だった発電ステーションは、わずか2ヶ月で6ヶ所も増え、2023年6月時点で17カ所に発電ステーションが誕生している。

「東日本大震災の被災地は本当に真っ暗で、病院すら明かりが無い状態であった。また、津波でエネルギー源となるものも全て流されていた。唯一残っていたのはLPガスだったが、それを動力とする発電機も無かった。エルソナはLPとガソリン可搬型発電機なので、『あの時もし、エルソナさえあれば』という声が多く、このプロジェクトを企画した。どのような状況下でも『発電ステーションに行けば、電気が使える』という安心を届けたい」(小島社長)

主力商品であるエルソナを無償で貸し出している小島社長の理念は、「世の中に喜んでもらえることが利益になる」だ。同プロジェクトによりG&ECOとエルソナの認知拡大も見込む。まさに、商売と社会貢献を両立させたアクションと言える。

脱炭素社会に向けた根本的解決

LPガスやガソリンを燃料に発電するエルソナは当然、稼働させればCO2が発生する。そこで同社は2022年から、エルソナによって発生するCO2を太陽光発電でオフセットするという取り組みも開始している。

例えば支援先の団体のひとつである一般社団法人再エネ協同基金では、住宅用陽光発電1kWあたり1万円の助成金を支給する取り組みを実践している。同団体へG&ECOは発電機売上の約1.5%を寄付。例えばエルソナ1台につき9,450円を拠出した場合、0.945kWの太陽光発電導入支援につながる。太陽光発電によるCO2排出削減は0.945kWで446.6kg/年。これはエルソナS-5500を93時間稼働した際に排出されるCO2排出量に相当する。

つまり、発電機の稼働が年間93時間を下回ればCO2排出はマイナスになる。災害時や工事現場などで使われているエルソナは、年間93時間稼働することは極めて稀なので、発電機が導入されればされるほど再生可能エネルギーが増えてCO2が削減されるといえる。これは、自社プロダクトで排出されるCO2を自社サービスの中でオフセットする根本的な解決策である。発電機の設計開発販売から太陽光発電システムの提供まで、包括的に展開している同社ならではのエコシステムだ。

可能性を秘める3つの事業

同社が手がけるエルソナをはじめとする発電機事業、太陽光発電システム事業、蓄電池システム事業という3つの事業はそれぞれ一長一短である。発電機は先述の通りCO2を排出し、太陽光は夜になると確保できず、蓄電池は空になれば動かない。だからこそ小島社長は「可能性がある」と話している。

「発電はバイオマス燃料が活用できないか。蓄電池は安全性と持続性を高めるためにどうすれば良いか。また、全体の事業を組み合わせてデメリットを補うような最適化は可能か。技術探究によって、それぞれをバージョンアップさせていきたい」(小島社長)

向日葵のように上を向く経営

同社では従業員が松下幸之助の「一日一話」を輪読している。そして週に1度、朝礼で感想を発表する。

「会社が大切にしていることを共通言語化させることが目的。毎回読んでいると同じ話を発表することもあるが、去年と今年で感じ方が違うこともある。それが成長ではないか」(小島社長)

朝礼の締めは必ず「今日も1日、にっこり笑顔でお願いします」だ。

「何事も笑顔というのはとても大事。上を向けば泣けない。笑っていれば楽しい。だから1日の始まりは笑顔でいてほしい」(小島社長)

幼少期から現在に至るまで、小島社長は花が好きだという。学生時代は園芸や農学を学び、地元京都では花屋でアルバイトをしていた。20年前から渋谷で花を育てるボランティア「シブハナ」も継続中。好きな花の一つは向日葵だという。

震災、豪雨、土砂崩れ、大雪、火山などあらゆる災害リスクを負っている日本。暗いニュースが後を絶たないなか、これからもG&ECOは、電力という花で日本を照らす役割を果たしていく。

【小島盛利のプロフィール】

株式会社G&ECO 代表取締役社長

京都出身。2002年に株式会社日本エコシステムへ入社。営業職に従事。翌年本社へ異動となり上京。環境管理責任者、Webサイト責任者、公共産業営業部副部長などを歴任。内部監査業務やクレーム対応にも携わる。2012年に新設された子会社である株式会社日本ソーラーパワーへ異動。営業部長を務めた。

2014年に同社を退職後、和のエネルギー株式会社を創業。太陽光発電を中心とした再生可能エネルギーのコンサルタント業を展開し、現在も存続している。2019年5月、株式会社G&ECOの代表取締役社長に就任。営業経験も豊富なことからプレイングマネージャーとして同社を引っ張っている。

社外でも学校法人修道学園・広島修道大学人間環境学部の非常勤講師や太陽光発電協会で委員を務めるなど、精力的に活動中。

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