2023.7.10

【アヤナエステート園田美知】バリ島が「日本人ウケ」する秘密とは?

StoryNews編集部


アヤナエステート
ホテル副支配人(Executive Assistant Manager)
セールス&マーケティング部所属(Sales & Marketing)
園田美知

かつて「最後の楽園」と呼ばれたバリ島。日本では90年代後半からバリ島ブームが巻き起こり、2000年代前半にかけて、バリ島はハワイと並ぶ人気の海外旅行先となる。

バリ島を代表する観光客向け施設が「アヤナエステート」だ。コンセプトの異なる4つのホテルが隣接しており「アヤナリゾート&スパ バリ」と「リンバ ジンバラン バリbyアヤナ」は、それぞれ2019年のワールドトラベルアワードを受賞している。

1997年からアヤナエステートに勤務し、26年もの間バリ島に滞在している園田美知ホテル副支配人は「バリ島ブームの時は日本人の入島数が一番多かった。ビーチの美しさであれば、他にも似たような観光地がたくさん存在する。バリ島が日本人ウケしている理由は、現地に根付く伝統的文化にあるのでは」と語った。

ホスピタリティ精神と食文化

そもそもインドネシアは親日国である。これはインドネシア建国の父と呼ばれたスカルノ初代大統領が、第二次世界大戦中から日本と良好な関係を保っていたためと言われている。故にバリ島では日本語を話す現地民が多く、日本人が不得手とする「言葉の壁のハードル」は低い。

「バリの現地民は社交性に優れ、ホスピタリティ精神に溢れている人が多い。店頭で日本人観光客とバリ人が買い物の交渉をする、という光景もよく見られる」(園田副支配人)

また、海外旅行において重視されるのが“食”である。当然、現地ならではのグルメを堪能したいが、日本人の口に合わないことも多々あるだろう。インドネシアの主食はライスで、それに合わせておかずを用意するという食文化がある。これはまさに、日本の食卓と同じだ。インドネシア料理を代表する「ナシゴレン」は焼飯とよく似ており、日本人にとっても馴染みのある味だろう。

バリ・ヒンドゥーの伝統行事

インドネシアは国民の約9割がイスラム教徒である。ところが、インドネシア領のバリ島の島民は、ほとんどがヒンドゥー教徒という特殊な地域だ。4、5世紀にインドのヒンドゥー教が、ジャワ島を経由してバリ島に伝えられたという。その後、バリ島のヒンドゥー教は独自に発展し、「バリ・ヒンドゥー」が浸透していく。

慣習を重んじるバリ・ヒンドゥーには「儀式」と「御供物」の風習がある。ここにも日本と類似する文化を見ることができるだろう。しかしながらバリ島の正月「ニュピ」は、日本以上に徹底した儀式と言える。本来、バリ・ヒンドゥーは禁止事項が少ないが、ニュピ当日の夜明けから翌日の夜明けまでは「火や電気の使用禁止」、「外出不可」、「仕事をしない」、「殺生をしない」と定められている。

つまり、レストランなどの営業は一切ストップし飛行機の離発着も無くなり、1日限定のロックダウン状態だ。バリ・ヒンドゥーを信仰しない観光客も、この静寂を妨げる行為は禁止される。

「観光客にとって、交通網などがストップするニュピ当日は気を付けなければならない日。しかし、バリ島独自の伝統的文化を感じるのであれば、ぜひニュピを体感してもらいたい。晴れた日は満天の星空を拝むことができるなど、この日は最もバリを感じることができる日でもある」(園田副支配人)

ニュピ前日には、「オゴオゴ」と呼ばれる島全体をあげた祭りが催される。街中が通行止めとなり、多くの店が閉まる。当日は、悪霊を模した人形である「オゴオゴ」の山車や御輿が街を練り歩く。各家庭から追い出された悪霊がオゴオゴに乗り移ると考えられており、祭りの最後に燃やして海に流すそうだ。この祭りは、青森のねぶた祭とよく似ている。

このように「国民性」、「食文化」、「風習」、「伝統行事」といったものが日本と類似しており、それが“日本人ウケ”につながっているとも言えるだろう。

知られざるバリの魅力

これまでも多くの日本人観光客が利用してきたアヤナエステート。特に「アヤナリゾート&スパ バリ」はバリ島におけるホテルスパのパイオニアでもある。また、同ホテルのもう一つの代名詞が「ロックバー」という巨大な岩の上に建てられた880席の大型レストランだ。 

「ロックバーはなんといってもサンセットの時間帯が魅力。サンセットを見るために、観光客は夕方4時頃から並び、1時間後には席が無くなってしまうほど」(園田副支配人)

バリ島での異文化体験やビーチ、ホテルのプール、スパ体験、ロックバーで夕陽を見ながらの食事などは、日本人にとってスタンダードなプランとなっている。一方で、知られざるバリ島スポットも存在する。

例えばアヤナエステートから徒歩圏内のウルワツ寺院は知られざる夕陽スポットだ。野生の猿が多く、バリ島の雄大な自然を肌で感じることができる。ウルワツ寺院へ向かう小さな通りはヨーロッパを中心に人気が出始めたエリア。ヨーロピアンが展開しているお洒落なカフェやブティックが立ち並んでおり、異国情緒あるスポットとなっている。

「アヤナエステートはこの夏にバリ島南部では初となる小学生を対象としたグリーンスクールを企画するなど、毎年新しいものを生み出している。秋にはニュピをテーマにしたミュージアムもオープン予定。まだまだ知られていないバリ島の魅力を引き出し、良質な体験を提供していきたい」(園田副支配人) 

昨年11月、G20バリ・サミットが開催されたことにより、バリの知名度はさらに上がった。インフラ整備が進み、島全体はより活性化しているという。コロナが収束し、海外旅行需要が高まる今、バリ島が再び注目を集めており、第2次バリ島ブームの到来を予感させる。

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