ジャンボタニシ 参政党の黒歴史を解説 渕上桂樹の『渕上ラジオ』(第14回)
パーソナリティ:渕上桂樹 農業コミュニケーター
はい、というわけで、皆さんこんにちは。農業コミュニケーターの渕上です。
今日も渕上ラジオをお届けしていきたいと思います。
ジャンボタニシ 参政党の黒歴史を解説 渕上桂樹の『渕上ラジオ』(第14回)はこちらから聴けます
質問:「参政党がジャンボタニシ政党って言われている理由は?」
参政党がジャンボタニシ政党と呼ばれた理由
この番組では、農業コミュニケーターとして、さまざまなテーマでお話をしていますが、以前、参政党の農業の「政策」や「思想」について取り上げました。
その話をしたあとに、「そういえば、参政党ってジャンボタニシ政党って言われてますよね?」という質問をいただいたんです。
確かに、一時期は「ジャンボタニシ政党」と呼ばれて話題になりました。今回は、なぜ参政党がそんなふうに言われているのか、その経緯をまとめてお話ししたいと思います。
発端となったのは、2024年2月に、当時参政党の地方議員候補(現在は当選している方)の一人がSNSに投稿した写真でした。その写真には、ジャンボタニシ(正式にはスクミリンゴガイ)を田んぼにばらまいている様子が写っていて、「生きた除草剤をまいています」と書かれていたんです。
それを見た人たちが「ジャンボタニシを田んぼにまくの!?」と騒然となり、大炎上しました。農林水産省も異例の注意喚起を出すほどでした。
なぜ、ジャンボタニシを田んぼにまくことがまずいのか?
ジャンボタニシというのは、米を作る農家にとって本当に厄介な存在です。
私の地域でも発生していますが、繁殖力が非常に強く、放っておくと稲を食べ尽くして全滅させてしまうこともあります。
しかも駆除がとても難しい。
ジャンボタニシ自体はそんなに小さくないんですが、卵で田んぼのあちこちに生き残ってしまい、完全に取り除くのは至難の業です。
また、田んぼの壁を乗り越えて隣の田んぼに広がるなど、感染地域をどんどん拡大させてしまうんです。
だから、「ジャンボタニシをまく」なんてとんでもない話なんですよ。
ジャンボタニシがいる地域では、農家の人たちは本当に丁寧にトラクターを洗浄して、他の地域に持ち出さないように気をつけています。水をたくさん使って、少しでも拡散を防ぐ努力をしている。
その姿を知っていると、「生きた除草剤をまいています」なんて投稿を見たら、怒りたくなる気持ちは本当によく分かります。
私自身は米農家ではありませんが、そうした農家の方の努力のおかげで、私たちはおいしいお米を食べられているわけです。
参政党から出た苦しい反論
その後、参政党側から「ジャンボタニシ農法というものがあるんです」という反論が出ました。
確かに、一部の地域では、ジャンボタニシを完全に駆除できない場合に被害を抑えるための「ジャンボタニシ農法」という手法があります。しかし、それは「田んぼにジャンボタニシをまく」こととはまったく違います。
あくまで「被害を最小限に抑えるための工夫」であって、SNSで投稿されたような「生きたジャンボタニシをばらまく」行為とは別物です。JAの関係者も「そういう農法ではありません」と否定するコメントを出していました。
すると、参政党は「党としてジャンボタニシを推奨したわけではない」と釈明しました。確かに党の公式として言ったわけではないのかもしれませんが、問題はそこではありません。
「まいたのか、まいていないのか」「なぜそんな行動を取ったのか」その説明をすればいいだけの話です。
まいたのなら「こういう理由でやったけれど、結果的に良くなかった」と言えばいい。
まいていないなら「誤解です。実際はこういう状況でした」と言えばいい。
ところが実際には、「今の農業は本当に安心安全なのか?」という、話の論点をずらした反論ばかりが続いてしまいました。
その後も、党の代表者が「もうこの話はやめよう」と言ってしまったようで、結局、きちんとした説明がないまま終わってしまった印象です。だから、この話題はなかなか終わらない。
堂々と「ジャンボタニシをまくのは良くない」と言えばいいだけのことなんです。
別に大げさに謝らなくてもいい。「間違っていました」と言うだけでよかったと思います。
まいていないなら「誤解です」と言えばいいし、まいたなら「間違いでした」と言えばいい。でも、どちらも言えない。それがなんとも情けない。支持者への配慮なのかもしれませんが、そうやってどっちつかずの態度を取ると、かえって信頼を失います。
「参政党はジャンボタニシ政党なのか?」という質問をいただきましたが、私としては「ジャンボタニシ政党とまで呼ぶ必要はない」と思います。ただ、この一件で見えたのは、党としての“無責任な体質”が浮き彫りになったということです。
ジャンボタニシをまいたという行為そのものよりも、それにどう対応するか?そこに参政党という組織の姿勢が表れていたように感じます。というわけで、質問へのお答えは以上です。
渕上ラジオでは、皆さんからの質問を受け付けています。私、渕上桂樹のSNS『X』、または匿名質問サービス『mond』にお寄せください。
今日も最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。それではまた次回の渕上ラジオでお会いしましょう。バイバーイ!
イラストレーション:竹村おひたし